しげログ

元ひきこもりなのにヨーロッパで生活している元ひきこもリーマン

【低所得者層】小学生に集金袋を運ばせる古き悪習

 

 さすがに今はやっていないと思うが、ぼくが小学生の頃は、給食などのお金を子どもに持たせて、教師に提出させる集金システムがあった。大部分の人からすれば、何の変哲もないこのシステムに小学生のぼくは苦しめられていた。

 ぼくン家は、正直いって貧乏だった。いやあるいは、最低限の生活はできる程度の金は本当はあったかもしれないが、あまりにも親が無頓着だったせいかもしれない。ともかく基本的に家には金がなく、この集金の締切日を守ることがほとんどできなかったと記憶する。

 朝のホームルーム(HR)で、みんながぞろぞろと立ち上がって、教師に集金を渡しに行く中、ぼく含め数人は微動だにせず。翌日のHRで、集金まだの人~と教師がいう。数人が前にでる。翌々日のHR、"〇〇としげとき集金袋もってきた?" 翌々々日、"しげとき持ってきた?"と質問相手がぼくだけになってくるわけ。

 ようやく持ってこれたとき、もはや教師はHRで確認すらしなくなっていたので、ぼくは勇気を振り絞り、"あ、あのっ、しゅ、しゅうきん、もってきました・・・"と言う。突き刺さる周りの目線。すると、教師は"あぁ、じゃあ今から職員室いって、〇〇先生に渡しといて。"といいながら、1限目に使うプリントを配り始めた。

 ぼくは小走りで教室をでて職員室へ向かった。なんで、こんな心臓バクバクしているんだろう。当時は、ガキの俺に責任なんてないのになんて理不尽なっ!という憤りなどは感じていなかった。とにかく、"なんとかしなきゃ!" という焦りと不安を感じて、顔は熱くなっていた。

 しかし、ぼくはその〇〇先生という人を知らなかった。さらに、慌てて職員室へ向かう中で、その名前すらもすでに忘れてしまっていた。だから、〇〇先生ってどこ?って聞くこともできなかった。

 だったら職員室に入って、適当に事情を話して誰に集金を渡せばよいのか聞けばいい話。でも、ぼくにはできなかった。得たいの知れない大人たちがいる職員室という空間にどうも~ッと入っていくことが怖くてできなかった。だからといって、また教室に戻って誰だったか聞き直せば怒られるし、何よりクラスで目立ってしまう・・・。

 だからぼくは、捨てた。職員室の扉のそばに、集金袋を置いて走って逃げた。完全に頭が真っ白になっていた。このころから重度のコミュ障だったんだなぁ・・・。無事に?クラスに戻って、ぼくは授業をうけた。バレないようにバレないように強く願い、ドキドキしながら。

 当たり前だが、バレないわけがない。給食後の4限目?が開始したとき、教師が僕の名前を呼び、立ちなさいと命じる。

 

"集金袋は〇〇先生にちゃんと渡したよね?"

"は、はい・・・。わたしました・・・。"

"ウソばっかりっ!!!落ちてる集金袋を〇〇先生が見つけました!!”

”っ! じ、地面に置いてきました・・・”

 

 その後も、しばらく大声でその教師に怒られ続けたが、もはや何も覚えていない。覚えているのは突き刺さる目線と、じんわりとする両脇の下だけ。おそらく小3くらいの出来事。帰宅後、ぼくはもちろん母には黙っていた。

 ぼくのコミュ障も悪いけど、なんか切ないガキだなぁ。たかだか集金と大人は思うだろうけど、こんな責任と負い目を子どもに背負わせないでほしい。