ドイツのボン。ベートーベンの故郷。ホテルの朝食。妻は胃腸が弱いので部屋にいる。だから、独りで食べている。
ソーセージを取ろうとしていると、ふと他の宿泊客と目が合う。するとニッコリと笑顔を向けてくる。ぼくはぎこちない笑顔を返して、すぐに目を逸らす。中にはグーテンモルゲンと挨拶をしてくる人もいるので、ハイと無愛想に応えて立ち去る。
席につき、プレートにのった料理をモリモリと食べながら、僕は考えた。ホテルのビュッフェには、育ちの良し悪しがでる、と。野菜と肉、バランスよく摂るのか?適量を取るのか?ソース類は皿を分けるのか?など。
だから、もしぼくがまだ独身で恋人募集中なのだったら、デートでビュッフェはできるだけ避ける。だって、ご覧よ、この品の悪さを。
完