(※サムネイル用写真。大阪市立自然史博物館 入口手前にて)
大学を卒業してから、ぼくはすぐには就職せずに1年間フリーターをやっていた。短期の倉庫内軽作業と、ホテルの客室清掃である。どちらも密な人間関係はないだろう。そう考えたからだ。
しかし、軽作業とはいえど実際けっこう辛いものであった。今回は倉庫内の軽作業のアルバイトをしてみて、感じたことや気づいたことを記す。
倉庫の軽作業
ぼくが働き始めたのは郵便局の某倉庫。
そこでぼくがしていた軽作業は、仕分けであった。各地から集荷されて搬入口に到着した荷物をバラし、さらに配送先ごとに仕分けされたものを搬出口へ運ぶ、ただそれだけの仕事であった。荷物といっても、大きな台車単位で扱われる。その台車の中に色々と集荷されてきた荷物が入っているわけだ。
台車の大きさは、両手をいっぱいに広げたくらいの幅があり、高さは200cmくらいだったかと思う。これが、けっこうゴツいのだ。
一日の流れ
自分の勤務時間帯は、確か18時半から22時頃までだった気がする。記憶が曖昧だが、とにかく夕方から働いて、深夜手前まで働いていたのは間違いない。
服を着替える
だいたい始業15分前には到着して、更衣室へ。汚れてもいいような服に着替えて、倉庫用の靴に履きかえる。靴はつま先に鉄が入っているようなヤツである。軍手とタオルをもって、いよいよ倉庫へ。
ぼくのバイト先では、汚れてもいい服や軍手は持参、倉庫用の靴は用意してくれていたが、当然ながら使いまわしなので、潔癖症にはかなりキツい。貴重品は心配なので、ポケットにいれて持参しておく。
朝礼へ
倉庫内の事務室近くに集まって、朝礼である。ありがちな安全のための〇箇条を全員で、朗読する。
「一つ、倉庫内は走らない!」リーダー的な人が言う。
「一つ、倉庫内は走らない」全員ボゾボゾ・・・
といった感じである。そして各自、持ち場へ向かう。
黙々と運ぶ。運ぶ。運ぶ。
作業が始まれば、ただひたすら黙々と運ぶ。
東の搬入口から西の搬出口へ。行っては戻り、行っては戻り・・・。就職いやだなぁ。働きたくないなぁ。やっぱり、あのまま大学院へ行くべきだったかなぁ。え?さっき時計みてから、まだ15分しか経ってないやん・・・。
頭の中で色々と妄想しながら、ただひたすら黙々と。たまに長期アルバイトの人から指示をされたりするが、会話といえば、その程度。ほんとに誰とも話さない。
50分ごとに休憩
運ぶだけとはいえ、季節によっては熱中症の恐れもある。
そのため50分ごとに10分間の休憩があった。自販機がたくさん置いている談話室のようなところで、やっとみんな世間話を始めたり(だいたいオッサンたち)、スマホを一人でいじくりまくったり(だいたい若い人たち)、思い思いに過ごす。
この10分の間だけ、なんかこう、それぞれの人生が交差しているんだなぁ~と妙に不思議な気分になる。
終わったら風のように帰る
21時50分くらいから、短期バイト衆はソワソワしだす。
今から下手に新しい台車に手を出してしまうと、22時ちょうどには帰れないな・・・という思惑があるからだ。すぐに運べそうな軽い台車を選んだり、ちょっと遠回りしながら運んだりして、姑息な計算をしながら時間調整をする。
22時になると、とくに点呼等はなく、ゆるーく解散。オッサンたちは飲みに行く勢いで、談笑するが、若者たちは風のように着替えて去っていく。・・・といった感じである。
なお、ぼくが汗っかきなだけなのか、あるいは短期バイトとはいえ真面目に働きすぎたのか、バイトの後は毎度、シャツがずっしりと重く感じるくらい汗だくであった。
軽作業バイトの感想
軽作業バイトの感想をいうと、ぼくはもう勘弁である。二度としたくない。途中から、かなり苦痛を感じるようになった。とくにしんどかった点は、以下の3つ。
①仕事内容が単調すぎる
ただ仕分けするだけの仕事は、単調すぎて逆に辛くなる。なにがって時間が全く進まへんねんもん。もう30分は働いただろと思い時計をみたら、まだ5分しか経っていなかった・・・なんてザラにある。
この生産性のない労働が永久に続くのか・・・と思うとガチでネガティブになってくる。
②人間関係があまりにもなさすぎる
自分は人間関係が超絶苦手なので、それが無さそうな倉庫の軽作業のバイトを選んだわけだが、しかしほんとに人間関係が全く無い。ただでさえ超単純労働をしているのに、誰にも話しかけられず、たまに長期バイト連中の偉そうな指示だけ受けて働き、バイトが終わった後も帰ったのか帰ってないのか、誰にも気にもかけられない。
ぼく=労働力そのもの
この社会に取り残されたような孤独感、没個性感があった。まぁ、これはぼくが極端にネガティブ人間だから、そう感じただけかもしれないけど、ちょっとだけでも人間関係ってあった方がいいものであると気づいた。
③長期バイトに偏屈な人が多い
そこで働いていた短期バイトたちの印象は、下記な感じ。無害というか、ほんとに皆、おとなしい印象である。
- ネクラ学生風 ・・・ 5割 ← ぼく所属。最大勢力のくせに最弱。
- オッサン ・・・ 3割 ← なんか一番陽気で楽しそう
- 主婦風の女性 ・・・ 1割 ← 一番黙々と真面目に働く
- 陽キャ ・・・ 1割 ← 話す声がデカい
一方で、長期バイトには偏屈でイジわるな人が多い印象だった。そこの倉庫だけなのかもしれないけど。でも、たぶんバイトあるあるだよなぁ。
普通は1度に1台しか運べないような台車を、ベテラン風の人が同時に2台運んで、けっこうなスピードを出しているわけ。素人からすると、ほんと危ない。つーか、もともとそれ、禁止されてるから。あと後ろから台車をわざとブツけてきて、煽ってきたり。倉庫内にも煽り運転ってあるんだな。
あと意識高い長期バイト野郎に、「もっと積極的に仕事をとらなきゃっ!!」と仕事への姿勢を怒られたこともあった。たかだが短期の仕分け要員に何を求めてんかとイラッとしたが、一方で彼らが哀れにも思えた。
今も同じことやっているのだろうか。
感想まとめ
というわけで軽作業は、"とりあえず始める"アルバイトとしては、とてもいいと思う。人間関係へのハードルも低いし、仕事も超簡単だから。しかし、いやだったらすぐ辞めよう。代わりなんて山ほどいるし。と、割り切ってした方が良い。これは個人的な意見であるが、あれは長期でやるもんじゃない・・・と。
次のステップへ進むための、ただの腰掛と考えよう。
なお軍手はちゃんとしたヤツを買った方がいい
あ、一つアドバイスできるとしたら、軍手はちゃんとしたものを買った方が良い。ぼくは1袋で数組はいっている格安の軍手を買ったが、すぐにボロボロになって臭くなる。すぐに使いものにならなくなる。それだったら、しっかりした軍手を2組くらい買っておいた方がよかった。
ただの仕分け作業なのに、意外と消耗激しい。
というか、真面目に働きすぎたか?