今回は4年間はたらき続けた某回転寿司チェーン店(キッチン)でのアルバイト体験談を書きます。
まず一言で、まとめると、
キツイけど稼げる
って感じである。
ネットを見ていると、回転寿司チェーン店は、機械でシャリが出てくるから、楽チンだぜ的な論調があるが、これは働いたことない人の想像だろう。資本主義社会における大衆の食欲を侮ってはいけない。
ネタを乗せるだけといはいえ、ピーク時はマジで全く追い付かないですからね。
ぼくの遍歴
もともとぼくは飲食店のバイトだけは絶対にやらないと思っていたが、最終的には人生で最も長く続けたバイトとなった。
本当はもっとスマートなバイトを探していたのだが、ド田舎あるあるで、求人が飲食店くらいしかなく、もう泣く泣く応募したという感じだ。
働いた期間
だいたい4年間くらいのはず。大学に入学する1年前から初めて、4回生になった直後くらいに辞めたので。
応募したときは、高校中退ひきニートであったが採用された。それくらい常に人材不足ということで、この時点で大変さが伝わる・・・。
毎月の給料
毎月だいたい11-12万円をコンスタントに稼いでいた。
大学入学後は給付型の奨学金はもらっていたけど、家庭の事情である程度の生活費も稼ぐ必要があったため
勤務時間
この給料を稼ぐには、週5回勤務は必要である。
土日は、10-11時からラスト(0時くらい)まで。
平日は、18-19時からラストまで。
つまり毎週の勤務時間は、42時間前後。そこらへんのホワイト企業の正社員よりも働いていたというわけだ。なかなか大変だったな。
回転寿司(キッチン)の業務内容
寿司ネタの種類で、ポジションが割り当てられる。どこの回転寿司も概ねそうだろう。例えば、ぼくが働いていた店舗でのポジションは、以下の通りだった。
- SA、
- BC、
- 軍艦、
- 細巻、
- フライ、
- 汁物(うどん、茶碗蒸し含む)、
- テイクアウト、
- 洗い場
SA/BCは、軍艦と細巻以外の寿司ネタを作るポジションで、中でもハマチとかマグロとか人気商品を作るのがSA、マイナーだったり変わり種を作るのがBC。他のポジションは説明せずとも、だいたいわかるだろう。
もちろん深夜シフトになると、上記ポジションを1人で回して、他2人は片づけとか掃除したりする。
回転寿司(キッチン)のキツかった点
さて、いよいよ本バイトのキツかった点を挙げていこう。
ピーク時がマジで忙しすぎる
ピーク時はガチのマジで忙しいです。各人の本性が出てしまうくらい。
・忙しくても無理して仲間を助ける人、
・自分が楽することしか考えてない人、
・あからさまにイライラを全面に出す人、
・テンパるだけの人、
・・・ちょっとした戦場と言っても良いかもしれない。いやいや、シャリにネタ乗せるだけで楽勝やんw と思うかもしれないが、やってみると、意外と奥が深いものである。以下で、図解してみよう。
では、いざ回転寿司キッチンでアルバイトを始めたあなた。目の前に上図の光景が拡がっている。
ここでまず、あなたが注目しないといけないのは、目の前のレーンと、サイドにあるパネルです。
レーンの寿司
ネタの写真がプリントされたあの皿は、ポップと呼ばれるが、ピーク時には、この後ろには常に3皿(さび抜き 1皿、有り2皿)ネタが続いているのがマスト。※もちろん、店舗によってルールは違うだろうけど。
例えば図面のハマチのように完売状態だったら、3皿付け足す必要あるというわけだ。そして、1皿まだ売れ残っている状態だったら、追加で2皿を足さないといけない。
これらを見逃すと、それに続く隣の担当者や社員にポップを拾い上げられて、見逃すな!と注意されます。同時に、流れる寿司の鮮度もチェックし、古いものは廃棄する。店によっては、バーコードで自動チェックするシステムがあるけど、ぼくの働いていたところでは、目視ベースであった。
以上がレーンに流れる寿司への対応である。
パネルの寿司
と、同時に対応しないといけないのが、パネル注文される寿司。ピーク時にはポンポンと注文が入ってくる。注文されて、(例えば)5分経過したものは赤く、3分経過したものは黄色く表示されます。
自分の担当外の注文も入ってくるので取捨選択しながら、寿司を作っていって、パネル注文専用のレーンで客席に流す。
具体的な対応の仕方
しかし、目の前に現れたタスクを順番に処理していっては、とてもじゃないけど間に合わない。素早く対応するためのちょっとしたコツは、
①パネル注文専用レーンを止めないこと
②注文内容をいったん整理すること
である。
例えば上図のケース(再掲)を順当に対応しようとすると、最初にエビアボカド x 4、ハマチ x 2を作ろうとするでしょう。しかしここは、まずネタを乗せるだけのハマチx 6皿をパッと作るべきである。そして、1番テーブルに1皿、6番テーブルに2皿流す。残りの3皿は、目の前のレーンに流す。
次に先ほど出発したパネル注文のハマチが客席へ旅立っている間に、エビアボカドを4皿分、作っておく。1番テーブルの客がハマチを取り次第に、エビアボカドを5番テーブルに流す。
次にサーモンを6皿つくり、ひとまず2皿を8番テーブルへ流して、残りの4皿にオニオンを乗せて、4番テーブルに3皿を流す。その頃には2番レーンが空くはずなので、1皿を9番テーブルへ。
てな具合である。
もちろん、その間にもパネル注文は増えてくるし、目の前のレーンからも空ポップが流れてくるので、その都度、効率の良いタスクフローを更新しつつ対応する。長く働いている人の中でも、こうした情報処理は難しいようで、会得できる人は意外と少ない印象だった。空ポップを山ほど抱えたり、パネル注文分を真っ赤っかにしてしまう人が多かった。
・・・拙文だったが、"そこまで単純じゃない"ということ、伝わっただろうか。
腰がイカれる
もちろん立ち仕事なので、腰がキツイ。
持ち場によっては、何合もするシャリを持ち運びます。ぼくの場合は、土日に12時間近く働いていたので、3年目くらいには完璧に腰痛持ちになってしまった。
正社員が基本的に体育会系
上述の通り、なかなかタフな体力仕事ということもあってか、正社員は軒並み体育会系で、上下関係に厳しい。まぁバイトには直接には関係ないけど、たまに来るエリアマネージャーが偉そうなこと偉そうなこと。
店長には、その場の思いついたような浅慮な指示を飛ばすのだが、それには絶対服従、反論の余地なしという感じで、可哀そうだった。
まぁそのエリアマネージャーも、そんな上層部を見てきて真似をしているわけで、社風が伝わってくる。
声だしの練習はあった
あ、体育会系でバイトに関係ありそうなこと言えば、声だしの練習があった。ぼくのような陰キャにはキツかったなぁ。
オープン前の駐車場に呼ばれて、数メートル先にいる店長に向けて、"いらっしゃいませ!!"、"ありがとうございました!!” とか叫ばされた。聞こえない、もうちょっと大きい声で、とか言われながら。
回転寿司(キッチン)の良かった点
以上までが、キツかった点である。しかし、これで終わってはイメージ悪すぎるので、良かった点を挙げていこう。
一言でいうと、貧乏な大学生にはイイ!!。
安定して稼げる(シフトを貰える)
コンスタントに一定額を稼ぐという意味では、このバイトは最適である。なぜなら、慢性的に人手不足だからだ。これは飲食店業界全体に言えることだろうけど。これが塾講師とかになると、そう簡単にはいかないだろうな。
あと、22時以降の労働に適用される深夜割増とか、時間外手当とかを上手く組み合わせれば、そこそこ良い時給になる。
まかないで寿司を食べれる!
チェーン店によると思うけど、バイトには寿司の割引券が配布されるので、昼休みなどに安く寿司を食べることができる!
寿司のまかないは、貧乏学生にとって本当にありがたかった。ヘルシーなので、健康にも気を使える。
可愛い子が多い?
あとホント、ふさげていると思うかもしれませんが、飲食店のホールで働くバイトの女の子は、みんな可愛い。
上記の通り、ピーク時は超絶に忙しいので吊り橋効果もあるのか、店内にカップルは3組くらいいたな。
まとめ
というわけで、回転寿司キッチンのバイト、やってみてはいかがだろうか。
なお、以上の経験は、7年ほど前のものである。今ではもっとオートメーション化が進んでおり、もうちょっと楽かもしれない。