しげログ

元ひきこもりなのにヨーロッパで生活している元ひきこもリーマン

【実体験】ひきこもりから脱出する方法

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 今でこそ、ぼくは海外駐在員(大卒)というステータスであるが、約10年前は高校中退ひきニートであった。(実際、今のステータスも、中身を開けば誇れるほどでもないが・・・)

 自分で言うこっちゃないが、10年前と比べるとホントに大きく人生が変わったと思う。いや、ほんま。10年前は一畳の範囲だけで生活していたのに、今は部屋を飛び出して、大西洋も飛び越えちゃって、ヨーロッパ生活してるんだから。

 しかし、高校中退ひきニートから、ここに至るまでの過程を振り返ると最初の一歩はほんの些細なものだったな。

 

当時の生活リズム

 

 あの頃の生活リズムをざっくりと言うと、

 

 ・だいたい昼に起床。

 ・ハローワークとかタウンワークの求人広告を見る(ホントに見るだけ)。

 ・夕方になると、何も行動しなかった罪悪感と自己嫌悪感で狂乱する。

 ・21時くらいに落ち着き始め、ニコニコ動画とゲームに没頭する。

 ・明け方に寝る。

 

 昼前後に起床。

 夕方になって発狂する。落ち着く。

 ゲームする。寝る。

 

 この無限ループ。バイトに応募しさえすれば、簡単にこのループに風穴を空けることができるはずだが、勇気が全く出ず、何もできない日々が3年間ほど続いた。

 

小さな変化で小さな一歩を

 

 "バイトに応募する勇気はない。でも、罪悪感と自己嫌悪で毎日発狂してしまう"。普通の人からすれば、ひきこもりはラクしていると思うかもしれないが、こんな日々を送ることは意外にめちゃくちゃ苦しい。こんな罪悪感などで発狂してしまうくらいなら、仕事している方がよっぽどラクだったりする。意外に。

 

 ともかく当時のぼくは、少しでも罪悪感を和らげて楽になりたくて、なんか身の回りのことで、新しいことをしようと心がけていた。例えば、以下で挙げるような、しょうもない小さなことから、始めていった。

 

 しかし今思えば、こうした小さなことの積み重ねがあったからこそ、最終的にはバイトの求人広告に、ポチッと応募できたのだと思う。

 

ぼくの小さな変化

 

 では、しょうもない小さなこととは何か。

 それは驚くほど些細なことである。

 

①昼間に窓を開ける

 

 は?と思われるかもしれんが、ぼくはたまに窓を開けて、部屋の空気の換気をしていた。これを唐突に思い出したのは、確か冬だったかと。

 

 窓を大きくあけると、麗な青空が広がっていた。冷えた空気が鼻孔を通り、肺に染み込んでいく新鮮な感覚を覚えている。滞るのは部屋の空気だけではないもんだ。たまには肺の換気もしないといけないもんだ、と。大げさかもしれんが、それだけで広い大地に寝そべったような久しぶりに味わう爽快感があった。

 

 これも一つの小さな変化である。

 

②筋トレ

 

 そういえば、筋トレも始めたのを覚えている。

 

 いつ社会復帰するかはわからんけど、その”いつか”に備えて体を鍛えておくことにしたのである。腹筋と腕立て伏せと、あの手のひらでニギニギするやつだけだけど。しかしこれには、良い作用があった。今までだったら罪悪感に耐えられないときは、壁を殴ったり、自分の体に爪を立てて、のたうちまわったりしていたが、それ以来、そのエネルギーは腹筋等で消耗するようになった。"良いことをした"という満足感もあったし。

 

 これのおかげで、後に社会復帰を果たした時は、一般の人より、かなり身体がムキムキに仕上がっており、筋肉を触られたもんだ。しかしこの筋肉の中には、負のエネルギーが詰まっているわけ。

 

③深夜徘徊

 

 調子がいい時には、深夜に近所を散歩していた。

 

 もちろんそれでも少し緊張するので深くフードをかぶり、街灯からも離れて暗い道を選んで歩いていた。完全に不審者である。しかし、静かな住宅街を歩きながら、虫の鳴き声や風を感じたり、星空を眺めたりすると、少し気持ちが和らいだなぁ。

 

④読書

 

 すぐに起こせる変化で、最大の効果を発揮しうるのは、やはり読書であろう。

 

 読書はいわば、本を通して他者とコミュニケーションをとるわけだから、ひきこもりにできる最も外向的な活動といえる。ぼくの場合は、まったく本を読む習慣などなかったが、なんとなく赤川次郎さんの三毛猫ホームズシリーズを読んだのがキッカケだった。とても読みやすく面白かったので、同シリーズを読み進めていくうちに推理小説自体に興味を持ち始め、その後、江戸川乱歩や横溝正史にシフトしていった。

 

 やがて徐々に文学にも手を出すようなり、様々な本を乱読する中で、多くの共感・反発・関心を抱いた。今までの無な生活とは対照的に、知のビッグバンといってもいい衝撃があった。

 

 最終的に読書は、ぼくの価値観を大きく変化させてくれたな。

 

⑤ブログ

 

 あとこれは個人的に最も大きなインパクトがあったことだが、ブログを始めたことは、かなり大きな変化につながった。もともとブログを始めたキッカケは、何でも心のゴミを吐き出せる場がほしかったためだった。

 

 誰も自分を理解してくれない、共感してくれない苛立ちから、書きなぐれる場所が欲しかったわけだ。だから書いていることは、愚痴しかなかった。しかし、色々と愚痴などを書いている内に、ほんとに自分が欲しているものや願望などが、見えてきたのである。

 

 思えばブログを始めるまでは、ただ嘆きに嘆きまくって、もはや自分は元々何に嘆いていたのかすら、分からないような混沌に陥っていた。しかし当然、混沌とした状況だけでは文章はかけないから、それでも書こうとする中で、自分の内面を冷静に捉えられるようになってきたのである。きっと。

 

 ぼくの場合、ブログを書いていく中で、"大学へ進学して失われた学生生活を取り戻したい"という願望がはっきりし、より一層強くなっていったので勉強を始めて、高卒認定を取得し、最終的にはそこそこの大学へ進学することになった。

 

最後に

 

以上のように、たった今からでも起こせる小さな変化を5つ挙げてみた。ぜひ試してみてほしい。

 

 ところで10年経った現在のぼくは、ひきこもりこそしてないが、かつてないほどの行き詰まりを人生に感じている。"仕事して帰宅して晩御飯たべて酒のんでゲームして寝る"。このループから抜け出せない。

 

 今こそ10年前の自分を振り返って、改めて小さな変化を起こしていくべきときかもしれない。