人間関係がすこぶる苦手である。
大学を卒業して就職するまでの1年間、倉庫内の軽作業と、ホテルの客室清掃のアルバイトをしていた。なぜなら、人付き合いが少なそうだと思ったから。
実際、働いてみた感想。ホントに人間関係は楽であった。どちらもアタリの職場をひいただけの可能性もあるが、人見知りにはかなりオススメのアルバイトである。
今回はホテルの客室清掃について書いてみる。
※倉庫内軽作業については・・・
ホテルの客室清掃
ぼくは内定をもらって入社するまでの5か月間ほど、このアルバイトをしていた。そして人生で初めて辞めたくないと思ったアルバイトだった。それくらい楽しかった。コツコツと自分の手元に集中して作業できるし、いい運動にもなる。こういうのが向いているだろなぁ~。
人間関係が嫌いな人には、ちょうどいいアルバイトだ。
ホテルの種類
作業内容や忙しさはホテルの種類によって違うかもしれない。例えばカプセルホテルだと窮屈なところで作業するから腰が痛いとか。ビジネスホテルだと、担当する部屋数が多いとか。
余談であるが、ぼくのオカンは若い時分に、ラブホテルの客室清掃をしていたそうだ。なかなか大変だったとのことらしい。特殊な遊びをされた宿泊客たちが、ベッドにぶちまけたブツを片付けるのが、かなり屈辱だったらしい。よっぽど辛かったのか、これまでに3回もこの話を聞かされた。
話を戻すとぼくが働いていたホテルは、某テーマパークに隣接していたので、観光ホテルの部類といっていいだろう。
観光ホテル
その観光ホテルは、めちゃくちゃ巨大でフロアは何層もあった。そのため客室清掃はホテル自体が行っているわけではなく、清掃会社に委託してるわけだ。それも数社へ委託している。つまり、1〜5階はA社、6〜10階はB社といった風に。
そうすることにより、清掃会社同士を強く意識させることができるので、ホテルとしてはコストを抑えられるわけだ。怖すぎる。
「A社はこの価格で清掃してくれてるんだけど?」とかハッキリと言われることもあれば、呟いている感じで「こんなクレーム出るんだったら、A社にもうちょっとフロアを任せるかぁ・・・」と嫌味ったらしく言ってきたり。ホテルは言いたい放題だし、清掃会社は完璧に言いなりである。社会の縮図を見たような気がする。
しかしまぁ、アルバイトには関係ない。具体的な作業内容は以下の通りである。
1日の流れ
まず出勤から。某テーマパーク隣接ということもあって、通勤路はテンションMAXな観光客とまったく一緒である。これが唯一のストレスだった。アゲアゲな人込みをかき分けて改札口を出てホテルへ向かう。
裏口からホテルへ
ホテル裏の従業員用入り口から入る。
入口には守衛さんがいるので、社員証?バイト証?を提示する。大量のリネンが入ったワゴンが数台ある狭い通路を抜けて、従業員用エレベーターで、自分の清掃会社が請け負っているフロアまで上がる。洗濯したてのようないい匂いが鼻孔をかすめる。
こういう舞台裏感、きらいじゃない。
制服に着替える
ここのホテルの場合は更衣室がないので、例えば男性は10階、女性は11階の従業員通路で着替えることになっていた。会社で買わされた制服に着替える。これ、やめる時にはクリーニングしてから返却しろって言われるわけだが、当然に費用はこちら負担である。
何となく腑に落ちない。貴重品をもって、事務所のある11階へ移動する。
タイムカードと清掃グッズ準備
事務所に入って軽く挨拶しながら、タイムカードを切る。着替えてからのタイムカード。これもちょっと腑に落ちないが、まぁ良い。そして清掃道具(洗剤やらスポンジやら、補充用のアメニティ)をバケツに準備しているうちに朝礼が始まる。
さて、ここで人見知りが気になるのは、従業員層でしょう。
一緒に働く人たちはどんな人?
ぼくが働いていたホテルの場合は、9割が女性だった。ほぼ全員既婚者である。シングルマザーの方もいた。年齢はだいたい40代から50代くらい。たまに30代の人も。自分が客としてホテルに宿泊したときのことを思い出しても、どのホテルもそんな感じじゃないかと思う。
当たり前だが、みんなかなり落ち着いた大人だ。やっかいな人は1人もいなかった。なので、人間関係は全く苦痛ではなかった。先日書いた倉庫内軽作業では、人間関係がなさすぎるし、めんどくさいヤツが多い印象だったが、このアルバイトでは絶妙な距離感の人間関係があった。
成熟したコミュニケーションがあった。
朝礼と部屋割り振り
全員があつまると、朝礼が始まる。話す内容はだいたい、下記の通り。
- 挨拶
- 昨日あったクレーム紹介
- 各自への部屋割り振り
肝心の清掃すべき部屋数だが、だいたい1人当たり6部屋を割り当てられる。チームで清掃するホテルもあるようだが、ぼくのところは1人体制だった。部屋数だけでいうと、かなり少ないように見える。
しかし観光ホテルの場合は、ツイン以上、6人部屋なんてのもある。とくに自分は若い男だから体力があるだろうということで、少し多めに割り当てられたりした。
6人部屋 x 2
3人部屋x2
2人部屋x2
など。
いよいよ客室清掃
そしてついに客室清掃が始まるが、なかなか体力的にも時間的にもシビアな仕事だったかもしれない。ぼくの場合は、下記の通りに清掃を進めていた。
①まず客室から出るもの、入るものを整理
客室にはいってまずすることは、交換しないといけないシーツ・枕カバー・タオル類、補充しないといけないシャンプーなどを、全て一つのワゴンに放り込むことである。客室から出るもの全てを、一番最初に一括で追い出すわけだ。
それが終わったら小走りでリネン室へいって、古いシーツ類を分別しながら洗濯カゴへシュート。空いたワゴンに今度は、客室に入れるもの全てを放り込みます。シーツ類や補充したシャンプー、飲料水など。
そうすると後は、部屋に閉じこもって清掃に集中できる。
②水回りの清掃
次に水回りの清掃に手を付ける。基本的に中腰なので、これが一番コシにくる。だいたいの流れは、こんな感じである。
- 浴槽・ドア・イス・床を洗剤とスポンジで洗う(赤カビに注意)
- 泡を洗い流す
- 排水溝のゴミを取る
- 乾いたタオルで、水滴を全てふき取る ←これが超めんどくさかった
洗面台にも水垢がついているので全てふき取り、アメニティを補充。トイレのトイレットペーパーは半分近く減ってたら、新しいものに取り換えて三角折りにする。
③ベッドメイキング
水回りの清掃が済んだら、ベッドメイキング。
最初はなかなか慣れず、イライラした。恐らく初心者にとって、最も難しいポイントである。しかし慣れると簡単だし、できあがった綺麗なベッドをみると、いい作品ができたと、ちょっとした満足感を味わえる。あとこれ、わりと教え方に自信がある。最終的には教育係になってたから。
えっへん。
④ゴミ箱の袋を交換して掃除機かけて終了
あとはゴミ箱を交換して、いろいろと微調整して、最後に掃除機をかけて終わり。掃除機をかけるとき、客室内を見回しながらすると、忘れ物をする確率が減って効率がよい。
⑤リネン室の清掃やヘルプ
自分の担当分がおわったら、リネン室や廊下を清掃したり、明日のためにアメニティやシャンプー類を補充したり、他の人のヘルプに入ったりしながら、時間をつぶす。終業時間5分前になったら、ゆっくりと着替えてタイムカードをきって退社する。
業務内容については、そんな感じである。
大変だったところ
このバイトで大変だったところをまとめておく。
①時間との勝負
まずチェックインという時間制限があるわけだから、常に時間との勝負である。これが、けっこうシビアである。ベッド数は多いし、客室自体も広いし。他の方々と比べて若くて体力もわりとあるぼくが、終始駆け足で清掃しても全てが終わるのは14時頃だった。
なお他の方は、チェックイン時間が始まってもまだ終わってなかったりする。
② 爆発したのか?と思うほどの散らかりよう
これはおそらく観光ホテルならではの傾向かもしれないが、客室の散らかり方がハンパじゃない。ガチで。ドアを開けた瞬間、あまりの散らかりように膝から崩れ落ちてしまったことがあるくらい酷かったことがある。
台風が通り過ぎたのか、大ゲンカでもしたのかいうほど、辺り一面にティッシュやらなにやら散らかっており、足の踏み場がないくらいのこともある。きっとテンションMAXでハシャギ倒していたのだろう。 これにまた時間がかかる。
③体力勝負
そして、やっぱり体力勝負な仕事だと思った。
全てのベッドからシーツをはがして、リネン室へもっていく。新しいシーツをもってくる。簡単なことに見えるが、意外とシーツは重い。これだけでも息があがる人もいると思う。終わる頃には汗ビッショリである。仕事終わりの汗拭きシートは必須だ。
あと気をつけないといけないのは、腰である!屈んだり、しゃがむ時はしっかりとお尻も落とすこと!じゃないと絶対に腰は痛める。でもそれさえ気をつけてれば大丈夫だと思いう。
実際ぼくは腰痛持ちだが、そこまで辛くはなかった。
客室清掃の感想
このアルバイトの感想まとめ。
めちゃくちゃ楽しかった!
身体をしっかりと動かして汗をかいて、 綺麗になった部屋を眺めると、自分の成果がわかりやすい。精神衛生上とても良い仕事だった!もし今の仕事をクビになったら、取り急ぎ客室清掃のバイトを始めたい、と思うくらいだ。勤務時間も否応なしに、10時頃から15時までなので予定も立てやすいし、1人で黙々と進められる。
人前にあまり立ちたくないという人には、大変オススメのアルバイトである。